組織変更管理(OCM)は、人々が変化に適応するのを支援することに焦点を当てている。 調査によると、OCMの重要性を認識し、人々の変化に対処するための措置を講じることで、組織は成功する可能性が4倍高くなる。1
人々が変更に適応するための手順を計画するときに、ステークホルダーを導くために使用できるいくつかの変更管理方法がある。 John Kotter2 の8段階プロセスが記載されている. COBIT 実装のライフサイクルの変更可能リングは、John Kotterの作業と一連のものであることを、COBIT 5 の資料は示している。(図表1)
図表1-実装ライフサイクル7つのフェーズ
Source: ISACA, COBIT 5, USA, 2012
変更を有効にするプロセス内の各ステップは相互に関連しており、他のステップを評価する際に有用である。なぜならば、1つのステップで変更が発生した場合は、問題に適切に対処するためには新しいアクティビティやタスクの変更が しばしば必要となるからである。
COBITまたはベストプラクティスによる変更を計画する場合に、COBIT 5実装のライフサイクルで定義された方法論や変更の実現を考慮し、どのようにガイダンスを運用するかを完全に理解することは困難な場合もある。理論は幾分抽象的となることもあるし、要素を実装する際に、プロジェクトのタイムラインとの関連で変更されることについてのコミュニケーション計画を作成し実施するだけで、計画が非常に簡単に煮詰まってしまうこともある。実装に関連するコミュニケーションを進めることは、論理的と思えることが一般的である。このステップは、何が変化しているかということに対する重要な情報をチームに確実に伝達する。残念ながら、フレームワークの実装に焦点を当てることではステークホルダーが期待している結果を達成することはできないだろう。
結果を識別するために、COBITを採用するための組織計画を立てる必要がある。実装はプロジェクトが完了する時点に焦点を合わせる。プロジェクトへの実装が終わった後に、組織はしばしば古いやり方に戻る。このフレームワークの採用は、新しい働き方を組織に組み込むことに焦点を当てる。この変化は新しい基準となるため、変化は組織のDNAの一部となる。実装ライフサイクルの変更可能リングのステップ6は、「新しいアプローチの組み込み」である。このステップでは、COBITに関連する変更の適用に焦点を当てる。
採用計画 Vs.実装
組織内に新しいアプローチを組み込むためには、プロセスが変化したり、元のプロセスに戻ったりしないように、いったんCOBITの実装が完了したなら、ステークホルダーはこれらのアプローチを定着させるための措置を講じる必要がある。 それはボートを錨で止めるのと同じである:錨を水に投げ入れ、ボートが漂って離れてしまわないようにする。誰もすべての時間と労力を費やすことを望まないし、一度COBITで達成された結果が「漂って離れていってしまう」ことを望まない。投錨する必要がある。 新しいアプローチを組み込む必要がある。
COBIT 5の要素には、エンタープライズイネーブラーを使って「ボートを錨で止める」方法を理解し、理論を運用する包括的な方法がある。 COBITは7つのカテゴリのイネーブラー(図2)を定義する。 新しいアプローチを完全に組み込み、変更と関連する結果をつなぎ止めるために、各カテゴリに焦点をあてる必要がある。
図表 2—COBIT 5 エンタープライズイネーブラー
Source: ISACA, COBIT 5, USA, 2012
新しいCOBITアプローチを採用し焦点をあてるために、ステークホルダーはイネーブラーをガイドとして使用すべきである。 7つのイネーブラーのそれぞれについて、ステークホルダーは、新しいアプローチを組み込むために、各イネー ブラーで何を変える必要があるかを問いかけるべきである。
例えば、COBITを採用する場合、どのような原則、方針、枠組みと調整する必要があるのか? リスク、優先順位、またはリソースに関連する原則または方針を更新する必要があるかもしれない。
プロセスのイネーブラーについて同じ問いかけがなされる場合は、変更管理またはインシデント管理に関連するプロセスを調整すべきかもしれない。
人員、技能、能力のイネーブラーはどうだろうか? 新しいアプローチを組み込むには、組織が職務内容やトレーニング計画を更新する必要があるかもしれない。
新しいアプローチをつなぎ止めあるいは組み込むために役立つアクティビティを定義するために、ステークホルダーは各イネーブラーのために何を変更する必要があるかを問いかけるべきである。各イネーブラーを分析することは、必要なタスクについての多面的な視点を発達させるとともに、COBITにより達成されたポジティブな勢いを今後も前向きに保ち、確実にする手助けとなる。
Pam Erskine, COBIT Implementation and Assessor, DevOps Fundamentals ITIL Expert, Kepner-Fourie, Lean IT, Six Sigma
ITとサービスの変革において15年以上のリーダーシップ経験を有している。 IT革新、運用、ビジネスの連携と統合に関するベストプラクティス、ソートリーダーシップ、指針を提供する責任を持つ。彼女の変革への情熱は、「ITILと組織変更」を執筆することにつながった。この本は、職場での変更の承認を得るためのベストプラクティスを扱っており、組織の変化モデルをサービスマネジメントイニシアチブに適用するための実用的なアドバイスを提供している。 アースキンは、Kepner-Fourieにおいて、視覚的な戦略計画において認定されている。 フォローは@adopt_itsm、メールは perskine@adoptitsm.com。
脚注
1 Boaz, N.; E. A. Fox, “Change Leader, Change Thyself,” 2014年3月のMcKinsey Quarterly
2 Kotter, J.; 主導的な変化、ハーバードビジネススクールプレス、米国1996年